浄土宗西山禅林寺派の総本山である永観堂は、正式には「聖衆来迎山無量寿院禅林寺」(しょうじゅらいごうざんむりょうじゅいんぜんりんじ)という名所の寺院です。
863年に法然上人を宗祖とし創建された寺院ですが、開山時は真言密教の道場でした。
多くの文化人たちから「モミジの永観堂」として親しまれてきた紅葉の名所です。
ご本尊として「みかえり阿弥陀」という特徴のある阿弥陀像があったり、釘を使わずに汲み上げられた臥龍廊があったりと見どころも多い寺院です。
この記事では参拝におおよそ1時間かかる永観堂について3つの見どころを含め、歴史や豆知識を紹介します。
永観堂の見どころ3選
それぞれ詳しくご紹介していきます。
見どころ① 3,000本の美しい「モミジ」
永観堂は平安時代から紅葉の名所としてしられ「モミジの永観堂」と親しまれてきました。
もともと永観堂がある場所は藤原関雄という貴族であり文化人でもあった人の別荘だった場所にあります。
藤原関雄は立身出世よりも閑退を好んだ人物で、文章生試に合格したもののほとんど出仕することなく東山にあった旧居で過ごしていたといいます。
平安時代の紅葉狩りは、林野にある自然の木々が作り出している風景を見ることが多かったそうですが、藤原関雄は庭園を造り紅葉狩りを楽しんだとされています。
その庭園こそが、現在の永観堂です。
平安時代から現在に至るまで、秋になると多くの人が紅葉狩りに永観堂に訪れるほど美しい風景が楽しめますよ。
見どころ② 人間味がある優しいお姿の「みかえり阿弥陀」
通常ご本尊として安置されている阿弥陀如来像は、坐像・立像共に正面を向いたお姿がほとんどです。
ですが永観堂の御本尊である阿弥陀如来像は、頭を左に向けたお姿をしています。
この阿弥陀如来像は鎌倉時代の初期に作られたもので、遅れている人を待つかのように後ろを振り返っています。
どことなく人間味がある優しいお姿の阿弥陀如来像です。
見どころ③ 開山堂と御影堂を繋いでいる「臥龍廊」
永観堂は山肌にある寺院で、斜面に沿って諸堂が並びます。
これらの諸堂を繋ぐ渡り廊下のような建物がありますが、そのうち開山堂と御影堂を繋いでいるのが臥龍廊です。
緩やかに曲線を描く階段で、すべて組木の技術で作られており、釘を1本も使っていません。
臥龍廊からは境内のモミジがよく見えるため、紅葉の季節には非常に美しい風景が見えますが、実はこの時期には参拝客が非常に多く臥龍廊の通行は危険であるため、通行禁止となります。
永観堂の歴史や豆知識
現在は浄土宗の寺院である永観堂ですが、創建時は真言密教の道場でした。
もともとは平安時代の貴族であり文化人だった藤原関雄が、弘法大師の弟子である真紹僧都の徳を慕い別荘を寄進し創建されたのです。
853年に草創され、863年に創建されてから約220年間は真言密教の寺院でしたが、1166年に永観律師が住職を務めた年から1224年静遍僧都が住職を務めた年までの約140年間は浄土教寺院となり、その後は浄土宗の寺院となった歴史があります。
約1,200年の歴史がある永観堂ですが、応仁の乱による影響は免れませんでした。
鎌倉時代から室町時代までは非常に栄えた永観堂ですが、応仁の乱により全山が被災し荒廃し復興は江戸時代までかかっています。
この頃の永観堂は寺院というよりは病院のような役割をしており、明治時代に入るまでは
療病院、癲狂院などが設立されていました。
応仁の乱以降、突然永観堂が病院のような役割を担うようになったわけではありません。
実は1097年に当時の住職であった永観律師という僧が薬王院を建て施療所を設けたという歴史があります。
この永観律師の存在こそ、本来は禅林寺とう寺名にもかかわらず「永観堂」と呼ばれるようになった理由です。
困難に直面している人々を助け救い上げてきた永観律師を慕い禅林寺派「永観堂」と呼ばれるようになったのです。
本堂に安置されているみかえり阿弥陀も、永観律師と関わり合いが深い阿弥陀如来像です。
永観律師が修行のため阿弥陀像の周りをぐるぐると歩いていた時に、ふと自分の前に阿弥陀様が現れたそうです。
阿弥陀様が先導し歩いていた時に、立ち止まり「永観、遅し」と振り返っておっしゃったときのお姿だといわれています。
永観堂の参拝時間と料金
名称 | 聖衆来迎山無量寿院禅林寺(浄土宗西山禅林寺派総本山永観堂禅林) |
拝観時間 | 午前9時~午後5時(受付は午後4時で終了)
ライトアップ実施時:午後5時半から午後9時まで(受付は午後8時30分で終了 |
拝観料 | 通常拝観料:一般600円 小中高生400円
秋の寺宝展時:一般1,000円 小中高生400円 ライトアップ実施時:中学生以上600円 |
住所 | 京都府京都市左京区永観堂町48 |
お問い合わせ | TEL: 075-761-0007 |
公式サイト | http://www.eikando.or.jp/ |
永観堂のアクセス
【公共交通機関で向かう場合】
京都市バス「南禅寺・永観堂道」バス停から徒歩約3分
京都市営地下鉄「蹴上」駅から徒歩約15分
【車で向かう場合】
名神高速道路「京都東」ICから約35分
名神高速道路「京都南」ICから約25分
永観堂の駐車場
無料駐車場
永観堂には境内に約20台の駐車が可能な無料駐車場があります。
有料駐車場
駐車場名 | 岡崎公園駐車場 |
住所 | 京都府京都市左京区岡崎最勝寺町63 |
料金 | 1時間まで510円
最大料金:月曜日から金曜日1,400円 最大料金:土日祝日1,800円 |
台数 | 506台 |
会場までの距離 | 徒歩約13分 |
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まとめ
「モミジの永観堂」として知られる禅林寺は、みかえり阿弥陀や臥龍廊など仏像や建物などもぜひ味わっていただきたい寺院です。
約1,200年という長い歴史の中には、応仁の乱による全山被災といった災禍にも巻き込まれた時もありましたが、平安時代から長く紅葉の名所として愛されてきた寺院です。
寺院でありながらも施療所を設け、無料で困難に直面している人々を救ってきた歴史も持つ永観堂です。
その優しく暖かな雰囲気が感じられるかもしれませんね。