お正月、京都での初詣を計画されているんですね。京都の初詣で屋台が多いと検索されたということは、やっぱりあの非日常的なお祭りの雰囲気を楽しみたい!というお気持ちでしょうか。
わかります。あの寒空の下、境内から漂うお線香の香りと、屋台から立ちのぼるソースの焼ける匂いや甘酒の湯気に包まれると、「ああ、新年が来たな」って五感で実感しますよね。あの空間に身を置くこと自体が、もう新年のイベントというか。
ただ、ひとくちに「京都の初詣」といっても、場所によって雰囲気はまったく異なります。八坂神社や伏見稲荷大社のように、参道が屋台で埋め尽くされ、カウントダウンさながらの熱気に包まれる場所もあれば、しんと静まり返った中で厳かに新年を迎えられる穴場もあります。
「屋台は楽しみたいけど、アクセスはどうなの?」「年末年始の営業時間って、夜通しやってる?」「混雑状況がヤバすぎて、参拝すらできないんじゃ…」そんな不安もよぎるかもしれません。
この記事では、そんなあなたの疑問や不安を解消できるよう、屋台の賑わいを満喫したい方から、祇園や錦市場での「京都らしい食べ歩き」を楽しみたい方、あるいは混雑を避けてゆっくりご利益にあやかりたい方まで、それぞれのニーズに合わせた初詣スポットを、地元民の視点から詳しくご紹介しますね。
- 京都で屋台が最も多い定番スポット
- 屋台とは違う「京都らしい食べ歩き」の選択肢
- 年末年始に注意すべき営業時間と混雑情報
- 人混みを避けて参拝できる穴場神社
京都の初詣で屋台が多い場所は?

まずは「これぞ京都のお正月!」という、屋台の賑わいを存分に楽しめる王道のスポットをご紹介します。
特にこれからご紹介する八坂神社と伏見稲荷大社は、屋台の数を求めるなら絶対に外せない「二大巨頭」ですね。
どちらもアクセスが良く、夜遅くまで(あるいは終日)賑わっているのが特徴です。
八坂神社「をけら詣り」の熱気
「屋台が多い」と聞いて、京都の地元民が真っ先に思い浮かべるのが、ここ八坂神社(やさかじんじゃ)です。「祇園さん」の愛称で親しまれる、京都の中心地にある神社ですね。
ここのハイライトは、何と言っても大晦日の夜から元旦の早朝にかけて行われる「をけら詣り(おけらまいり)」です。
「をけら火」と吉兆縄が織りなす非日常空間
大晦日の15時に「大祓式(おおはらえしき)」があり、この頃から徐々に人が集まり始めます。そして19時に「除夜祭」が始まると、境内の熱気は最高潮に。まさに「お祭り」状態です。
この神事の主役は「火」。境内で焚かれる「をけら火」を「吉兆縄(きっちょうなわ)」という火縄に移し、その火が消えないようにクルクルと回しながら家に持ち帰る、という古くからの風習があるんです。
この、あちこちで火のついた縄が回っている幻想的な光景と、立ち並ぶ屋台の煙や匂いが混じり合って、本当に独特の非日常的な空間が生まれます。この「体験」そのものが、八坂神社で年を越す醍醐味ですね。
屋台の規模と範囲
屋台は神社の境内だけでなく、隣接する円山公園や、祇園のメインストリートである四条通沿いにもズラリと並びます。その数は圧巻です。
たこ焼き、焼きそば、からあげ、フランクフルトといった定番メニューはもちろん、甘酒、かす汁といった温かいもの、京都らしい「はしまき」などが並ぶことも。まさに屋台の海といった感じです。
アクセスの注意点:バスは避けるのが賢明
八坂神社へのアクセスとして「市バス206系統(祇園バス停)」がよく紹介されますが、これは京都観光のゴールデンルート(京都駅、三十三間堂、清水寺、祇園)を通る路線。大晦日や三が日は尋常じゃないレベルで混雑します。
バスが時間通りに来ない、来ても満員で乗れない…ということが日常茶飯事です。寒い中バス停で延々と待つのは辛いので、個人的には避けるのが賢明かなと思います。
京都駅からの場合、地下鉄烏丸線で「四条駅」まで行き、そこから阪急電車に乗り換えて「京都河原町駅」で降りて歩く(徒歩約10分)のが、一番スムーズで時間が読めるルートですよ。
伏見稲荷大社の屋台と参拝時間
全国に約3万社ある「お稲荷さん」の総本宮、伏見稲荷大社も屋台の数では八坂神社に負けていません。
JR奈良線「稲荷駅」を降りた瞬間、もう目の前が参道で、そこから屋台のストリートが始まっています。また、京阪本線「伏見稲荷駅」から本殿に向かう参道(神幸道)も、両脇が屋台でびっしり。
その数は八坂神社とタメを張るか、それ以上かもしれません。
24時間参拝可能という圧倒的強み
伏見稲荷大社のすごいところは、正月三が日は基本的に終日(24時間)参拝できることです。(※ご祈祷の受付時間などは異なります)
もちろん屋台も、特に大晦日から元旦の夜にかけては夜通し営業しているお店が多いです(全部のお店ではありませんが)。深夜や早朝でも、煌々と明かりが灯り、屋台の賑わいの中で参拝できるというのは、他の神社にはない大きな魅力ですね。
千本鳥居で有名ですが、お正月はまず本殿にたどり着くまでが大変な混雑です。特に日中は身動きが取れないほどの人の波になることも。屋台を楽しみつつ、人の流れに乗ってゆっくり参拝する、という時間的にも精神的にも余裕を持ったプランで臨むのが良いですね。
伏見稲荷大社の初詣情報
伏見稲荷大社は、正月三が日(1月1日〜3日)は終日開門しており、参拝が可能です。ただし、ご祈祷の受付時間や授与所の開所時間、周辺の交通規制などは通常と大きく異なります。
特に車でのアクセスは、大規模な交通規制が敷かれるためほぼ不可能と考えた方が良いです。必ず公共交通機関(JRまたは京阪)を利用してください。
最新の公式情報は、訪問前に必ず公式サイトで確認しましょう。(出典:伏見稲荷大社公式サイト 祭礼と行事(1月))
錦市場の年末年始と食べ歩き

いわゆるテキ屋さんの「屋台」とは少し違いますが、「食べ歩き」という観点では、錦市場も絶対に外せないスポットです。
「京の台所」と呼ばれるこのアーケード街は、地元民にとっても観光客にとっても特別な場所。特に年末(大晦日にかけて)は、おせち料理の材料や、お正月の「おばんざい」を買い求める人々で、まっすぐ歩けないほどの混雑と活気に包まれます。
この時期の錦市場は、歩くだけで楽しい「食のエンターテイメント空間」です。
高品質な「京の味」を食べ歩き
錦市場の魅力は、屋台とは一線を画す「品質」です。多くが専門店なので、味が本格的。
- ふわふわで出汁が香る「だし巻き玉子」
- その場で食べられる新鮮な「生牡蠣」や「うなぎの肝串」
- チョコレートコロッケや湯葉クリームコロッケなどの「変わり種揚げ物」
- 色鮮やかな「京漬物」の試食(お店によります)
これらをその場で買って食べ歩きできるお店がたくさんあります。テキ屋の屋台とは違う、高品質な「京都の食の屋台村」といった感じですね。
錦市場の年末年始スケジュールに注意!
錦市場は「市場」なので、お店によって営業時間がバラバラです。統一された休業日はありませんが、元旦(1月1日)は多くのお店が休業します。
一番活気があるのは、間違いなく年末(特に12月28日〜31日)。年始(特に1月1日〜3日)に「食べ歩き天国」を期待して行くと、ほとんどのお店が閉まっていてガッカリ…という可能性が高いです。
訪問のタイミングには十分注意してくださいね。アクセスは地下鉄「四条駅」や阪急「京都河原町駅」から徒歩すぐです。
祇園・河原町エリアの回遊性
ここまで紹介した「八坂神社」と「錦市場」は、実は徒歩圏内なんです。
八坂神社が位置する「祇園」エリアと、錦市場がある「四条河原町」エリアは、京都最大の繁華街。このエリア全体が、年末年始は特別な「ハレ」の雰囲気に包まれます。
この「回遊性の高さ」こそが、このエリアの最大の強みです。特定の神社にこもるのではなく、エリア全体を散策しながらお正月気分を味わえます。
モデルプラン:屋台と食べ歩きを制覇
例えば、こんなプランも可能です。
- 15:00〜:まだ明るいうちに錦市場へ。比較的空いている時間(といっても混んでますが)に、だし巻き玉子や海鮮串などの「食べ歩き」を楽しむ。
- 17:00〜:四条河原町エリアのデパート(高島屋や大丸)の地下でお土産や夜食を調達。
- 19:00〜:祇園の八坂神社へ。「をけら詣り」の熱気を体感しつつ、境内や円山公園の「屋台」で夜食を楽しむ。
このように、八坂神社の屋台群は、周辺エリアからの流入・流出を受け止める「巨大な胃袋」としての機能も果たしているんです。
京都らしい「おばんざい」の魅力
錦市場のところでも少し触れましたが、もし滞在先がホテルや町家(Machiya)などで、少しキッチンがある(あるいはお皿と電子レンジがある)なら、錦市場での「おばんざい」の量り売りは本当におすすめです。
旅先で自炊をするのは大変ですが、これならパックに詰めてもらうだけ。ホテルに持ち帰って、部屋でゆっくりと「京都の味」を楽しめます。
年末に行けば、おせち料理に欠かせない「棒だら」や「黒豆」、「たたきごぼう」なんかも100g単位でバラ売りされています。これらをちょっとずつ買って、お皿に盛り付けるだけで、「旅先での即席おせち」が完成します。
これは、高価な重箱のおせちを買うほどではないけれど、正月の気分はしっかり味わいたい、という方にぴったりの楽しみ方。外食ばかりで疲れた胃を休めるのにも、優しい京風の出汁が効いたおばんざいは最高ですよ。
京都の初詣で屋台が多い以外の魅力

屋台の賑わいはもちろん魅力的ですが、「人混みがすごすぎて、参拝どころじゃなかった…」「寒空の下、ずっと並ぶのは正直しんどい」という声もよく聞きます。わかります、私も人混みは得意な方ではありません。
ここでは、いわゆる屋台とはまた違った「食」の魅力を持つスポットや、比較的落ち着いて「京都らしい」新年の誓いを立てられる穴場をご紹介しますね。
今宮神社のあぶり餅と営業時間
屋台での買い食いとは違いますが、京都には「門前菓子」という素晴らしい文化があります。その代表格が、京都市北区にある今宮神社の「あぶり餅」です。
これは、移動式の屋台(露店)に対し、参道に根付いた「固定店舗型の屋台」とも言える存在。今宮神社の東門を出ると、参道を挟んで2軒の老舗(「かざりや」さんと「一和」さん)が向かい合って営業されています。
歴史ある空間で味わう、素朴な絶品
きな粉をまぶした親指大のお餅を小さな竹串に刺し、備長炭の炭火で香ばしく炙る。そこに、とろりとした白味噌の甘いタレをかけたもので、これがもう、本当に絶品で…。
1人前600円(※かざりやさんの場合。2025年現在の目安)と、屋台でたこ焼きを買うのと変わらない手軽さで、歴史を感じる縁側のような席に座り、熱いお茶と一緒に出していただけます。これは単なる「買い食い」を超えた、最高の「京都体験」ですよ。
【最重要】あぶり餅の年末年始休業スケジュール
これ、本当に注意してください!
「年末年始だから当然開いてるだろう」と思って行くと、食べられない可能性が非常に高いです。
例えば「かざりや」さんの場合、例年12月16日頃〜12月31日(大晦日)まで、年末休業されます。「一和」さんも同様に年末はお休みされることが多いです。
「年越しにあぶり餅を!」と意気込んで大晦日に訪れても、両店とも閉まっています。
あぶり餅目当てなら、年明け(元旦以降)に訪れるのが正解です。
ただし、定休日が水曜日で、「1日、15日、祝日が水曜の場合は翌日が休み」といった複雑なルールがあるため、訪問前には必ず最新の営業情報を電話などで確認してくださいね。
混雑回避できる穴場の神社3選
「屋台はなくてもいいから、とにかく静かに新年の誓いを立てたい」
「八坂神社や伏見稲荷は、あまりの人の多さに疲れてしまう…」
そんな方のために、京都市内でも比較的落ち着いて参拝できる、でもちゃんと「京都に来た」と感じられる格式ある神社を3つピックアップします。
これらの神社は、単に「空いている」だけでなく、それぞれに「特定の強い御利益」というフックを持っているのが特徴です。
嵐山エリア(野宮神社)の魅力

まずは嵐山エリア。渡月橋周辺は観光地なので日中はそれなりに混雑しますが、東山エリア(祇園・清水)の爆発的な初詣の人出に比べると、まだ落ち着いている印象です。
特におすすめなのが、あの有名な竹林の小径の中にある野宮神社(ののみやじんじゃ)です。
ここは『源氏物語』の「賢木の巻」の舞台にもなった場所で、「縁結び」の神様として絶大な人気を誇ります。あの静謐(せいひつ)な竹林の中で、良縁を祈願する…。屋台の賑わいとは対極にある、とても京都らしくてロマンチックなお正月の過ごし方だと思います。カップルや女性の旅にもちろんおすすめです。
車折神社の芸能と「推し活」
嵐山から「嵐電(らんでん)」という路面電車に乗って、車折神社(くるまざきじんじゃ)へ足を伸ばすのも面白いですよ。
こちらは「芸能・芸術」の神様として非常に有名です。境内には、祈願成就した芸能人、アーティスト、俳優、声優さんなどの名前が書かれた朱塗りの玉垣(たまがき)が、これでもかというくらい奉納されています。
最近では、自分の好きなタレント(=推し)の名前が書かれた玉垣を探しに来る、いわゆる「推し活」の聖地としても大人気。屋台の「食」を楽しむのではなく、玉垣という「コンテンツ」を探して消費する、という現代的な楽しみ方ができる神社ですね。
松尾大社の日本酒と静かな参拝
嵐山エリアからさらに南、洛西(らくさい)エリアに鎮座する松尾大社(まつのおたいしゃ)は、京都最古級の神社の一つとされ、非常に格式高い神社です。
ここは古くから「醸造の神様」、つまりお酒の神様として全国の酒造関係者から篤い信仰を集めています。境内には全国の酒蔵から奉納されたお酒の樽(酒樽)がズラリと壁のように並んでおり、圧巻です。
東山エリアの爆発的な混雑とはほぼ無縁で、厳かな雰囲気の中で静かに参拝したい人、そして何より日本酒が好きな人には、最高の穴場パワースポットだと思います。参拝後に神様にお供えされた「御神酒(おみき)」をいただくのも、新年にふさわしい体験ですね。
京都の初詣で屋台が多い場所の総括

「京都の初詣で屋台が多い」場所を探す旅、いかがでしたでしょうか。
ここまでご紹介した情報を踏まえると、あなたのプランは大きく2つに分かれるかなと思います。
京都の初詣プランまとめ
- 【賑わい・お祭り重視プラン】
八坂神社(をけら詣り)や伏見稲荷大社(24時間参拝)をメインに据える。祇園・河原町・錦市場エリア(※年末)も絡めて、食べ歩きも屋台も制覇する。混雑は覚悟の上で、京都最大の「ハレ」の雰囲気を全身で満喫する! - 【体験・ゆったり重視プラン】
今宮神社(あぶり餅 ※年始の営業確認必須)や、嵐山エリア(野宮神社)、松尾大社(お酒の神様)などを巡る。屋台は少ないかもしれないが、人混みを避け、京都らしい静かな時間や、「縁結び」「芸能」「お酒」といった特定の御利益を追求する。
もちろん、これらを組み合わせるのもアリですね。例えば、昼間は嵐山や松尾大社で静かに過ごし、夜になってから祇園の八坂神社へ「をけら詣り」の熱気を浴びに行く…なんてことも、体力さえあれば可能です。
あなたの「京都でこんなお正月を過ごしたい」というイメージに合わせて、最高のプランを立ててみてください。
【最終確認】訪問前には必ず公式情報を!
この記事で紹介した営業時間や休業日(特にあぶり餅の年末休業や、錦市場の年始休業など)は、私(ジモティ)が調査した時点での情報や、例年の傾向に基づいています。
年末年始は、お店や神社によってスケジュールが非常に変則的になることが多いため、「行ってみたら閉まっていた…」という悲劇を避けるためにも、お出かけ前には必ず、各神社やお目当てのお店の公式サイト・SNSなどで最新の一次情報を確認するようにしてくださいね。
これは、楽しい旅行にしてほしいという地元民からの切なるお願いです!
それでは、寒さ対策を万全にして、素敵な京都の初詣旅行になりますように!





