京都観光のハイライト、清水寺の境内にある「地主神社(じしゅじんじゃ)」。
縁結びの神様として世界中から参拝者が訪れる超人気スポットですが、久しぶりに訪れようとして「えっ、工事中で入れないの!?」と驚かれた方も多いのではないでしょうか。
現在、地主神社は数十年に一度の大規模な「社殿修復工事」の真っ最中です。参拝を楽しみにしていた方にとっては本当に残念な状況ですが、これは数百年先の未来へ文化財を継承するための重要なプロジェクトでもあります。
「工事はいつまで続くの?」「なぜ閉まっているの?」「再開はいつ?」
こうした疑問は、旅行のスケジュールを組む上で非常に重要ですよね。また、「現地に行けない間はどうすればいいの?」「代わりになるパワースポットはある?」といった切実な悩みもあるでしょう。
この記事では、京都の地元情報に通じる私が、地主神社の現在の様子や今後の見通し、そして閉門期間中でも縁結び祈願ができる「代替プラン」について、どこよりも詳しく解説します。
- 地主神社の修復工事完了は早くても2026年以降の見込み
- 重要文化財を守るための「完全閉門」である理由と背景
- 現地に行けなくてもお守りを授与してもらえる郵送祈願の方法
- 地主神社の代わりにおすすめしたい京都の強力な縁結びスポット
地主神社の工事はいつまで?期間と理由

まずは、皆さんが一番知りたいであろう「いつまで工事が続くのか」というタイムラインと、なぜこれほど大掛かりな閉鎖が必要なのかという背景について、現在判明しているファクトを整理してお伝えします。
現在は完全閉門で立ち入り禁止
京都を訪れる観光客の方からSNSなどでよく質問をいただくのが、「工事中でも、有名な『恋占いの石』だけ見たり、お守りを買ったりすることはできないの?」という点です。
結論から申し上げますと、残念ながら現在の地主神社は「完全閉門(全面立ち入り禁止)」の状態にあります。部分的な公開も行われていません。
2022年(令和4年)8月19日から始まったこの措置は、単に社殿の屋根を直すだけでなく、境内全域を対象とした極めて大規模な保存修理事業です。地主神社の境内をご存知の方はイメージできるかと思いますが、敷地は決して広くありません。その狭いエリアに、本殿、拝殿、総門といった重要文化財が密集しています。
工事には足場を組んだり資材を搬入したりする必要がありますが、参拝者の安全を確保しながらそれを行うスペースが物理的にないため、境内への立ち入りを完全に制限する決断に至ったようです。
現在の現地の様子
清水寺の「清水の舞台」を出てすぐ左手にある地主神社の入り口は、仮囲いで完全に封鎖されています。社殿群も素屋根(工事用の覆い屋根)ですっぽりと覆われており、外からは中の様子を伺うことは一切できません。
工事終了予定は2026年以降
では、肝心の再開時期はいつになるのでしょうか。工事が開始された当初の公式発表では「工期は約3年」とアナウンスされていました。2022年(令和4年)8月に閉門したため、単純計算では2025年の夏頃が完了の目安となっていました。
しかし、この記事を執筆している2025年11月現在も、地主神社は依然として閉門したままです。社殿を覆う工事用の素屋根も外されておらず、現場の雰囲気を見る限り、すぐに一般参拝が再開されるような状況にはありません。
当初の予定を過ぎていることから、ファンの間では心配の声も上がっていますが、文化財の修復において工期が延長されることは決して珍しいことではありません。現状を踏まえると、再開は早くても2026年(令和8年)以降にずれ込むことがほぼ確実と言えるでしょう。
2026年の初詣について
現段階では、2026年正月の初詣期間に間に合うかどうかも不透明です。工事自体が完了しても、神様をお戻しする儀式(正遷宮)や、一般受け入れのための安全確認・準備期間が必要になるため、物理的な工事終了と参拝再開にはタイムラグが発生します。
公式ブログやLINEでは季節のコラムなどが配信されていますが、具体的な「再開日」に関する公式アナウンスはまだ出ていません。ネット上には「もうすぐ終わるらしい」といった噂も飛び交っていますが、確実な情報は公式サイトでの発表を待つ必要があります。
これから京都旅行の計画を立てる際は、「2025年中はまだ工事中である」という前提に立ち、もし2026年に入って再開していたらラッキー、くらいの気持ちで余裕を持ったプランニング(代替案の確保)をしておくのが、現地でガッカリしないための賢い方法です。
なぜ長期間の修復が必要なのか?

「修理に3年以上もかかるなんて、現代の建築技術ならもっと早くできるのでは?」と不思議に思う方もいるかもしれません。しかし、これはただの「リフォーム」ではなく、国の宝を守る「文化財保存修理」なのです。
地主神社の社殿は、1633年(寛永10年)に徳川家光によって再建されたもので、国の重要文化財に指定されています。桃山時代の華やかな装飾や建築様式を今に伝える、極めて貴重な建物です。
伝統技術「檜皮葺」の継承
今回の修復の核心となるのが、屋根の檜皮葺(ひわだぶき)の葺き替えです。檜皮葺とは、ヒノキの樹皮を少しずつずらしながら竹釘で打ち付け、何層にも重ねて屋根を作る日本独自の伝統技法です。
この作業には、熟練した職人(檜皮葺師)の手作業が不可欠です。今回は、京都で約300年の歴史を持つ老舗「有限会社宮川屋根工業」さんが担当されていることが報じられています。機械で一気に直すのではなく、一枚一枚、職人さんが手作業で修復しているからこそ、これだけの期間が必要になるのです。
「場所」の記憶を守る
また、地主神社の境内にある「恋占いの石」は、科学的な調査で縄文時代の遺物であることが確認されています。日本という国ができる遥か以前から、この場所は祈りの聖地でした。そうした土地の記憶や遺構を傷つけずに工事を進めるためにも、慎重な作業が求められています。
再開時期が未定となる背景
「なぜ『〇月〇日再開』とハッキリ言えないの?」と疑問に思う方も多いでしょう。しかし、これには国宝や重要文化財クラスの修復工事ならではの、避けては通れない事情が存在します。単に「工事が遅れている」というネガティブな理由だけではないのです。
1. 解体して初めて分かる「歴史の真実」
文化財の修復は、医療で言えば「手術」のようなものです。レントゲン(事前調査)である程度の予測はつきますが、実際に皮膚を切開(解体)してみないと分からない病巣や発見が多々あります。
よくある工期延長の要因
数百年ぶりに屋根や壁を外してみると、「予想以上に柱の腐食が進んでいた」というケースや、逆に「創建当時の墨書(書き込み)や古い部材が見つかった」という嬉しい発見があることも。こうした事態が発生すると、工事はいったんストップし、文化庁の専門官を交えた調査や協議、工法の見直しが必要になります。
2. 妥協を許さない「伝統技術」と「資材」
今回の修復で用いられている「檜皮葺(ひわだぶき)」などの伝統技術は、材料の調達だけでも大変な時間を要します。良質なヒノキの皮を確保し、それを加工し、熟練の職人が竹釘一本一本まで手作業で打ち込んでいく工程は、現代建築のスピード感とは全く異なる時間軸で進みます。
「工期を守るために材料の質を落とす」といった妥協は、重要文化財においては許されません。この徹底したこだわりこそが、再開時期の明言を難しくしている最大の要因と言えるでしょう。
3. 清水寺の奥という「立地の難しさ」
地主神社へ行かれたことがある方はご存知かと思いますが、あの場所は清水寺の境内奥深く、しかも急斜面の上に位置しています。大型の重機やトラックを横付けすることが難しく、資材の搬入出にも多大な労力と制約がかかる「難所」なのです。
このように、「工期厳守」よりも「文化財としての真正性と価値を未来へ確実に残すこと」が最優先されています。公式発表が慎重になるのも、確実な見通しが立つまでは期待を持たせるような情報を出したくないという、神社側の誠実さの表れだと私は感じています。
(出典:地主神社公式サイト『社殿修復工事に伴う閉門のお知らせ』)
お守りは郵送での授与が可能
「現地に行けないなら、縁結びのお守りも手に入らないの?」と諦めかけている方に朗報です。実は、地主神社では閉門期間中も郵送でのご祈願・お守り授与を継続して受け付けています。
神社側も公式サイト等で「距離が離れていても、神様を信じて願う心が真剣なら、そのご利益に変わりはありません」と明言しており、実際に全国から多くの方が申し込みをされています。
申し込み方法は、デジタル全盛の現代において少しアナログな「現金書留」か「郵便振替」が基本です。しかし、この「手間」こそが、願いの真剣さを神様に伝える儀式になると私は思います。
| 申し込み方法 | 具体的な手順とポイント |
|---|---|
| 現金書留
(推奨) |
郵便局で「現金書留封筒」を購入。
便箋に「希望のお守り名」「数量」「氏名・住所・電話番号」を記入。 お守り代金とお守りごとの送料(現金)を同封してポストではなく窓口から発送。 ※一度の手続きで完結するため、最もシンプルで確実な方法です。 |
| 郵便振替 | 郵便局の窓口で青色の「払込取扱票」をもらう。
口座番号(00940-0-66145)と加入者名(京都地主神社お守り授与係)を記入。 通信欄に「お守り名」「数量」を明記し、送料込みの金額を振り込む。 ※入金確認に数日タイムラグが発生する場合があります。 |
申し込みからお手元に届くまでは、だいたい10日〜14日程度を見込んでおいてください。「来週のデートまでに欲しい!」といった急ぎの場合は間に合わない可能性があるので、余裕を持って手配しましょう。
地主神社の工事はいつまで?参拝の代替案

「地主神社に行けないことは分かったけど、じゃあ京都でどこへ縁結びに行けばいいの?」
そんな迷える皆様へ。京都には地主神社以外にも、強力で魅力的な縁結びスポットがたくさんあります。
ここでは、地主神社の代わりとして、あるいはそれ以上の体験ができるかもしれないおすすめスポットを、地元の視点で厳選してご紹介します。
清水寺近くの八坂神社へ参拝
まず、「清水寺観光のついでに寄れる」という利便性と、「ご利益の確かさ」の両面で最もおすすめなのが、徒歩圏内にある八坂神社(やさかじんじゃ)です。
清水寺から産寧坂(三年坂)、二寧坂(二年坂)という京都らしい石畳の道を下りていき、ねねの道を抜ければ徒歩約15〜20分で到着します。このルート自体が最高の観光コースです。
なぜ八坂神社が「代替」になるのか?
実は、八坂神社の境内には「大国主社(おおくにぬししゃ)」というお社があります。ここに祀られているのは、地主神社の主祭神と同じ大国主命(オオクニヌシノミコト)なのです。つまり、場所は違えど「同じ神様」に祈願することができるため、地主神社への参拝と非常に近い意味合いを持ちます。
また、八坂神社には他にも見どころが満載です。
- ハート形の絵馬:大国主社の前にはハートの形をした可愛い絵馬がたくさん奉納されています。
- 願掛けうさぎ:真っ白なうさぎの置物に願い事を書いて奉納する授与品があり、これも地主神社の「因幡の白兎」との繋がりを感じさせます。
- 美御前社(うつくしごぜんしゃ):境内にある美容の神様。湧き出る「美容水」を肌につけると美人になれると言われており、縁結びとセットで「自分磨き」の祈願もできます。
安井金比羅宮で悪縁をリセット
「なかなか良い出会いがない」「今の彼氏と別れたいけど別れられない」「自分の中のネガティブな思考を変えたい」
そんな悩みをお持ちなら、清水寺から徒歩10分ほどの距離にある安井金比羅宮(やすいこんぴらぐう)へ向かいましょう。
ここは京都最強の「縁切り神社」として有名ですが、決して怖い場所ではありません。「悪縁を切り、良縁を結ぶ」というのが正しいご利益です。新しい家具を入れる前に部屋を片付けるように、新しい良縁を呼び込むためには、まず現在の障害(悪縁)を取り除くことが大切だという考え方です。
安井金比羅宮に関しては、安井金比羅宮がやばい理由の記事で詳しく紹介していますのでぜひ参考にして下さいね!
名物「縁切り縁結び碑」のくぐり方
境内には、お札がびっしりと貼られた「縁切り縁結び碑(いし)」という巨大な石があります。この穴をくぐる儀式が非常に有名です。
参拝の正しいステップ
- 本殿へ参拝:まずは神様にご挨拶します。
- 形代(かたしろ)を書く:身代わりのお札に願い事を書きます(「〇〇君と幸せになれますように」等の良縁祈願でもOK)。
- 表から裏へくぐる:形代を持って碑の穴を表から裏へくぐり、悪縁を断ち切ります。
- 裏から表へくぐる:今度は裏から表へくぐり、良縁を結びます。
- 形代を貼る:最後に形代を碑に糊で貼り付けます。
地主神社の明るい雰囲気とは対照的に、少しディープで真剣な空気が漂いますが、現状を打破してリセットしたい方にはこれ以上ないパワースポットです。
うさぎの岡崎神社もおすすめ

地主神社の大国主命といえば、神話「因幡の白兎」でうさぎを助けた心優しい神様です。その「うさぎ」繋がりで、特に若い女性やカップルに人気急上昇中なのが岡崎神社です。
場所は平安神宮の近くで、清水寺からはタクシーやバスで20分ほど移動する必要がありますが、その価値は十分にあります。
境内はまさに「うさぎ尽くし」。狛犬ならぬ「狛うさぎ」が鎮座し、招きうさぎ、うさぎの行列像など、至る所に可愛らしいうさぎの姿があります。うさぎは多産であることから、縁結びだけでなく、子授けや安産の神様としても信仰されています。
「地主神社の恋占いの石で記念写真を撮りたかった」という方にとって、岡崎神社はそれに代わる最高のフォトスポットになるはずです。可愛いうさぎのお守りやおみくじも充実しているので、SNS映えも間違いありません。
恋占いの石に代わる願掛け
地主神社の代名詞といえば、境内にある一対の「恋占いの石」ですよね。目を閉じて石から石へ無事に辿り着ければ恋が叶う…あのドキドキ感や、身体を使って運試しをする「体験型」の参拝こそが地主神社の醍醐味でした。
「ただ手を合わせるだけじゃ物足りない!」「自分でアクションを起こして願いを届けたい!」
そんなアクティブな方のために、地主神社の石占いに匹敵する、ユニークで強力な「体験型願掛け」ができるスポットを2つご紹介します。
野宮神社(ののみやじんじゃ)の「お亀石」
嵐山のシンボル「竹林の小径」の中に鎮座する野宮神社は、『源氏物語』の「賢木(さかき)の巻」の舞台にもなった、平安のロマン漂う古社です。
ここの本殿左側にあるのが、神石「お亀石(おかめいし)」です。亀の甲羅のような形をしたこの石には、「心を込めて撫でながらお祈りすると、一年以内に願いが叶う」という、具体的かつ強力なジンクスがあります。
「いつか叶うといいな」ではなく「一年以内」という期限付きのご利益が語られているのが最大の特徴。そのため、就職や試験、そして「次の誕生日までに恋人が欲しい!」といった明確な目標を持つ方には、地主神社以上に相性が良いパワースポットと言えるかもしれません。実際に訪れると、多くの参拝者が真剣な表情で石を撫でている姿が見られますよ。
下鴨神社(しもがもじんじゃ)の「連理の賢木」
世界遺産・下鴨神社の「糺(ただす)の森」入り口付近にある摂社「相生社(あいおいのやしろ)」は、縁結びの神様として京都屈指の人気を誇ります。
ここにある御神木「連理の賢木(れんりのさかき)」は、2本の木が途中から1本に結ばれているという不思議な姿をしており、「京の七不思議」の一つにも数えられています。この木が枯れても、必ず森のどこかに同じように結ばれた木が生えてくるという伝説があるほど、縁結びの力が強い場所です。
そして、ここでの参拝作法こそがまさに「体験型」です。
相生社の特別なお参り作法
- 「縁結び絵馬」の紅白の紐を、願いを込めながらしっかり結びます。
- 絵馬を持ったまま、お社と御神木の周りを回ります。(女性は反時計回り、男性は時計回りに2周)
- 3周目の途中で絵馬掛けに絵馬を奉納します。
- 最後にお社の正面に戻って二礼二拍手一礼。
ただ祈るだけでなく、お社の周りをぐるぐると歩いて回るこの儀式は、地主神社の「石から石へ歩く」行為に通じる達成感があります。参拝後には、繊細で美しいデザインが大人気の「レースお守り」を受けるのもお忘れなく。
公式LINEで繋がる神様との縁
最後に、物理的に参拝できない今だからこそ注目したいのが、地主神社のデジタル活用です。閉門中も、神社は決して「休眠」しているわけではありません。
公式ホームページやLINE公式アカウントでは、定期的に情報発信が行われています。特に「今月の宮司の言葉」や、恋愛成就のためのコラム「恋の1・2・3」などは、読むだけで心が整うコンテンツです。
「会えない時間が愛を育てる」ではありませんが、現地に行けない期間もこうしたメッセージに触れることで、神様との精神的な結びつき(エンゲージメント)を維持することができます。再開の情報もこうした公式チャンネルから真っ先に発表されるはずですので、今のうちに登録して、再開の時を待ってみるのも一つの「縁結び」活動と言えるでしょう。
地主神社の工事はいつまで続くかまとめ
現状として、地主神社の工事は2025年後半、あるいはそれ以降まで続く可能性が高い状況です。まだしばらくは境内に入ることができませんが、それは400年続く貴重な文化財を、次の100年、200年先の未来へ残すための大切な時間です。
京都旅行を計画されている方は、無理に工事中の地主神社へ行こうとして失望するのではなく、今回ご紹介した八坂神社や安井金比羅宮といった代替スポットを巡るプランに切り替えてみてください。きっと、新しい京都の魅力や、自分にぴったりのご縁が見つかるはずです。
また、どうしても地主神社のパワーにあやかりたい場合は、郵送でのお守り授与を活用するのも賢い方法です。
工事が終わり、鮮やかに蘇った社殿で再び「恋占いの石」に挑戦できる日が待ち遠しいですね。
それまでは、今しかできない京都の巡り方を楽しんでみてください!

