臨済宗建仁寺派の大本山で京都五山では3位の寺格を持つ建仁寺は、京都にある禅寺の中では最も古い寺院です。
祇園の南側にある建仁寺は住宅街の中にある寺院ということもあり、長い歴史の中では何度も災禍に見舞われています。
建仁寺といえば複数の庭園や風神雷神図、法堂の天井に描かれた双龍図などが見どころです。
この記事では参拝におおよそ45分かかる建仁寺について3つの見どころを含め、歴史や豆知識を紹介します。
建仁寺の見どころ3選
それぞれ詳しくご紹介していきます。
見どころ① 風神雷神図
建仁寺が所蔵する風神雷神図という屏風画は、俵屋宗達という近世初期の大画家が描いたものです。
国宝にも指定されている風神雷神図は、それぞれ縦154.5cm、横169.8cmというとても大きな作品です。
建仁寺の大書院で展示されていますが、実はこの建仁寺境内にある風神雷神図は精巧に作られた複製品で、原本は京都国立博物館に寄託されています。
複製品というとがっかりするかもしれませんが、高精細複製作品である大書院の風神雷神図は迫力満点で見応えがありますよ。
見どころ② 双龍図
建仁寺の僧侶が仏教の講義を実施する法堂の天井には、2匹の龍が絡み合うように描かれています。
1匹は「阿」もう1匹は「吽」の口をし、阿形の龍はその手に玉を掴んだ姿が大迫力に描かれているこの天井画が双竜図です。
この双竜図は2002年に小泉淳作という日本画家が描いた作品で、小泉淳作は鎌倉建長寺の天井画も手掛けています。
もともとは素木の天井だった建仁寺法堂ですが、建仁寺創建800年を記念して双龍図が描かれました。
建仁寺には他に桃山時代の画家海北勇松が襖絵として描いた「雲龍図」があり、現在は8幅の表具仕立てになり方丈にあります。
建仁寺にはこれら双龍図や雲龍図以外にも、花鳥図や竹林七賢図など重要文化財に指定されている書画図を所蔵・展示しています。
見どころ③ 庭園
枯山水式庭園が建仁寺には複数あります。
大雄苑は本坊方丈の前にある庭園で、三代目加藤熊吉が作庭したものです。
織田信長の弟である織田有楽斎が兄を供養するために建立したという石塔や赤松などが絶妙なバランスで配置され、白砂が砂紋により川の流れを表しています。
本坊中庭にある潮音庭は2005年から公開されている庭園で、庭の中央にある3つの石は「三尊石」といいます。
この石は四方のどこから見ても正面に見えるように設計されており、その周囲を紅葉が取り囲む優しい雰囲気を持つ庭園です。
本坊の坪庭として作庭されたのが「〇△□乃庭」は、禅の四大思想を〇△□の形で表しているそうです。
井戸の「□」は地を表し、庭中央の「〇」い苔と砂紋は水を、さらに白砂で作られた「△」は火を表しているそうですよ。
建仁寺の歴史や豆知識
京都の禅宗の寺院では最も古いとされる建仁寺は、1202年に開山しました。
鎌倉時代の将軍源頼家が寺域を寄進して、栄西禅師が開山の祖となり宋国百丈山を模して建立されたものです。
室町時代に入り制定された京都五山の制度の中で、建仁寺は第三位の寺格を持つ寺院として手厚い保護を受けましたが、天文の大火によって境内の建物の多くが焼失してしまいました。
1599年に安国寺恵瓊が安芸の国(現在の広島)から方丈を移築したことで復興が始まりましたが、明治に入り政府による宗教政策などにより神仏分離、廃仏毀釈などが行われ元の境内の約半分に縮小され現在の建仁寺の寺観となりました。
1202年の創建時は建仁寺には真言宗、天台宗、禅宗の三つの宗派を併置されていましたが、1259年に臨済宗の純粋な禅寺となりました。
禅寺というと坐禅の修行をはじめどちらかといえば「厳しい」イメージがあるかもしれません。
むやみに写真を撮ったりできないのではと思うかもしれませんが、建仁寺には写真撮影OKな場所が数多くあります。
例えば大書院の「風神雷神図」は写真撮影OKです。
国宝である本物の風神雷神図は京都国立博物館に寄託されているため、大書院にある風神雷神図は複製画と言うのがその理由です。
法堂の天井に描かれた双龍図も写真撮影できますし、カメラシェアリングサービスというセルフ撮影が楽しめるスポットが3カ所もあります。
建仁寺の参拝時間と料金
名称 | 臨済宗建仁寺派大本山建仁寺 |
拝観時間 | 午前10時から午後5時まで(最終受付午後4時30分) |
拝観料 | 一般 600円 中高生 300円 小学生 200円 (小学生未満は無料) |
住所 | 京都府京都市東山区大和大路通四条下る小松町584番地 |
お問い合わせ | https://www.kenninji.jp/contact/ |
公式サイト | https://www.kenninji.jp/ |
建仁寺のアクセス
【公共交通機関で向かう場合】
・京阪電車「祇園四条」駅から 徒歩約7分
・阪急電車「河原町」駅から徒歩約10分
・市バス「東山安井」バス停から 徒歩約5分
・市バス「南座前」バス停から 徒歩約7分
・市バス「祇園」・「清水道」バス停から 徒歩約10分
【車で向かう場合】
・名神高速道路「京都東」ICから約30分
建仁寺の駐車場
建仁寺周辺の駐車場の状況についてまとめます。
無料駐車場
建仁寺には残念ながら無料駐車場はありませんが、建仁寺北側にある駐車場に停めた場合は、本坊拝観の人に限り60分無料になります。
有料駐車場
駐車場名 | 建仁寺駐車場 |
住所 | 京都府京都市東山区大和大路通四条下る小松町584番地 |
料金 | 午前8時から翌午前2時まで 30分毎250円
午前2時から午前8時まで 30分毎100円 ただし本坊拝観の人は60分無料(空車券を本坊拝観受付まで持参) |
台数 | 43台 |
会場までの距離 | すぐ近く |
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まとめ
京都の禅寺としては最も古い建仁寺は、京都五山で第三位の寺格を持つ名刹です。
大方丈にある「風神雷神図」(複製画)や法堂の「双龍図」など見応えがある書画が数多くある寺院です。
美しい庭園が複数あり、それぞれ趣がちがう風景が楽しめますよ。
禅寺というと厳格イメージを持つ人は多いかもしれませんが、建仁寺にはカメラシェアリングサービスといったスポットもあります。
実は時代に柔軟に対応している寺院といえそうですね。