「山科は京都ではないのですか?」という疑問について解説します。
山科区は、京都府京都市に位置していますが、一部の人々からは「京都じゃない」と言われることもあります。
なぜ山科区が京都ではないと思われるのか、その理由や背景について紹介します。
また、山科区がどのようなエリアであり、どんな特徴を持っているのかも解説します。
今回の記事は、山科区の魅力や歴史的な背景についても触れながら、山科区について詳しく知ることができる内容です。
山科は京都じゃないと言われる本当の理由
「山科区は京都じゃない」
ネットで山科について調べてみるとそんな文言を目にすることもあるかと思います。
「え、じゃあ山科区はどこにあるの?」と思われてしまいそうですが、山科は立派な京都市の一部です。
では、なぜそんな風に言われるのか。
まず京都という町は本当に不思議な町で、行政区分上の「京都」と千年の都として古くから京都に住む人にとっての「京都」で少し意味が変わるのです。
行政区分上の京都と言えば、おそらく他府県の人が想像するように「京都府」のことを指しますね。
ところが、京都市在住の人からしたら京都と言えば京都市のことになります。
つまり京都府亀岡市や京都府宇治市は、京都市内の人たちからしたら「京都」ではなく「亀岡」「宇治」なのです。
これが市内中心部に住んでいる人たちからすると、さらに京都の範囲は狭まります。
そういう人たちにとって「京都」と言えば洛中。
洛中と言えばざっくり言うと東が鴨川まで、西が西京極、北が一条、南が九条、この範囲のことを言います。
つまりこの範囲こそが京都で、それ以外は京都とついているものの「洛外」「真の京都ではない」と考えられるんですね。
山科はもちろん鴨川よりもずっと東にあるので洛外、つまり京都ではないのです。
これに加えて山科は本当に京都府の東の果てにあります。
位置的にはすぐ隣が滋賀県ということで「山科は京都じゃなくて滋賀県の一部」などと揶揄されることが多いのです。
京都といえば三方を山に囲まれた京都盆地が有名ですが、実はその盆地の中に九条山という小さい山を隔てたところにある山科は、これまた三方を山に囲まれた山科盆地にあるんですね。
位置的に東にあり、山に囲まれている。
このことからも京都という感じが弱く、京都とは別の何かというポジションと思われることが多いのです。
実際、山科区は京都市の区の中で一番最後に編成された区です。
約70年前に区として独立するまでは東山区に所属する村だったんですね。
当時は広大な盆地にひたすら田畑が広がる光景だったのです。
その様子はやはり京都感がなく、滋賀の田舎の一部のような印象を持たれやすかったのだと思われます。
今では人口も多く、地下鉄の駅は5つもあり、JRの新快速が止まる主要駅。
京都駅までも一駅、滋賀県にも一駅、大阪駅までも40分かからず行ける、と非常に住みやすくなった山科ですが、「山科は京都じゃない」と言われるにはこうした理由があるんです。
山科は治安悪いと言われるのはなぜ?
さて山科を語る上で欠かせないのが「治安が悪いのでは?」という話題でしょう。
はっきり言って、この治安が悪いと言われているのもまた「山科は京都じゃない」と言われる原因の一端でもあります。
「京都として認めたくない」こんな風に思われてしまうわけですね。
山科は治安が悪いと言われている大きな理由は、某有名飲食チェーン店の社長への発砲事件のイメージが強いというのが挙げられます。
全国的にも衝撃が走ったその事件の現場がまさに山科。
殺人事件ですら珍しい日本において、拳銃で暗殺されるなんて事件が平成の世で起きたのは本当に驚きでした。
またそれ以外にも小学生が大麻を吸っていたことが発覚したりと、何かと全国ニュースレベルの事件が起きるのが山科。
そりゃ治安が悪いと言われるよな、と地元民の私でも納得です。
昔は田畑しかなかった山科。
その山科の南に隣接する伏見区の醍醐は、公営住宅が一気に建てられて人口が爆発的に増えたのですが、その際に暴力団関係者もたくさん入居したという背景もあります。
つまり、昔は実際に治安がよろしくなかったのです。
かつて日本を騒がせた宗教団体の信者が住んでいたマンションがあったりと、本当に治安が悪いと思われるような事情がたくさんあったのが山科なのです。
ちなみに醍醐は伏見区の一部なのですが、伏見区の中心地とはこれまた山で隔たれているので警察の管轄が山科警察に入っていることからも山科・醍醐で一つの地域として認識されています。
住んでみたら分かりますが確かに若干のガラの悪さは感じられます。
二人乗りのバイクで爆走する非行少年の姿は今でも見られますし、髪の毛を染めた小学生がとにかく多い。
ただ、そこまでひどい…というわけでもないのが私が長年住んでみての体感ですね。
単身世帯であれば、治安の悪さよりも交通アクセスなど住みやすさのメリットの方が強い、といった印象です。
それでも家族世帯、特に子育て世帯で言えば、先ほども挙げた通り見た目からしてあまりよろしくない子供も多いです。
「朱に交われば赤くなる」ではありませんが、我が子が非行に引っ張られてしまう、という危険性を感じて、正直に言えば山科に住みたくないという人がいるのも事実です。
山科区の治安の良い場所は?
そんな山科にも、もちろん治安が良い場所もあります。
一般的に京都市は北に行くほど治安が良いとされています。
南区、伏見区よりも下鴨や上賀茂がある北区の方が穏やかな街並みがあり、治安が良いとされているのですが、同じことが山科の中でも当てはまります。
つまり、山科の一番北は治安が良いのです。
具体的に言えばJR山科駅より北にある「安朱」。
人気の観光スポット、毘沙門堂もある安朱は高所得者がたくさん住んでいて閑静な住宅街といった様相。
しかも駅までもすぐに行けるというアクセスも抜群。
お屋敷のような家もたくさんあり、山科では圧倒的に治安が良い地域です。
ただし住宅街なので単身世帯やファミリー世帯が住めるような賃貸物件があまりない、というのがネックですね。
そこから西に少し進んだ場所にある「御陵駅」もまた、安朱ほどではなくとも治安が良い場所と言えます。
御陵駅は三条通沿いにあるのですが、三条通よりも北側は落ち着いた雰囲気で治安も悪くありません。
とにかく山科の中でも治安の良さを求めるのであれば北に向かってください。
まとめ
今回は京都市の東の果てに位置する秘境の地・山科についてまとめました。
治安が悪いとも言われていますが、それでも住めば都という言葉もあるように住んでみたら案外なんてことない町でもあります。
特に交通アクセスが本当に良いので住むメリットは大いにあります。
また大学があることからも学生向けのマンションが多く、そうした物件は家賃が安いことも魅力の一つですね。
私も長年山科には住んでいましたが大好きな町の一つでもあります。
ぜひ山科で素敵な京都ライフを送ってみて下さい。